特集分子病態の解明が進む骨髄不全症難治性貧血の診断・治療の最新動向(1)近年、次世代シークエンサーによる網羅的ゲノム解析などにより骨髄不全症についての分子病態の解明が進み、その知見が診断に反映されるようになってきた。さらに、新規治療薬が次々と登場し、これまで限られた選択肢しかなかった骨髄不全症の治療の選択肢が広がっている。ここでは「再生不良性貧血」、「骨髄異形成症候群」、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」、「赤芽球癆」の診断と治療について、各疾患の専門家に最新の情報をもとに分かりやすく解説していただいた。(責任編集 張替秀郎)
再生不良性貧血の早期診断と新規治療法
山﨑宏人(金沢大学附属病院 輸血部)
2018.06.28
「再生不良性貧血診療の参照ガイド」2018年改訂を反映しました
再生不良性貧血(AA)では、移植非適応の未治療患者に対する標準治療として、抗胸腺細胞グロブリン+シクロスポリン(CsA)療法が長らく用いられてきた。2017年8月にthrombopoietin受容体作動薬のエルトロンボパグがAAに対し適応追加となり、約20年ぶりの新規治療薬の登場となった。また、同時にCsAの非重症AAへの適応拡大が認められた。これらを受けて、「再生不良性貧血診療の参照ガイド(特発性造血障害に関する調査研究班)」の治療指針が大きく改訂された。ここでは、エルトロンボパグの話題を中心に、AAの早期診断の重要性と重症度基準に基づく治療方針について概説する。