特集B細胞性急性リンパ性白血病の分子病態、層別化、治療をめぐる最新の話題(5)急性リンパ性白血病(ALL)は、小児に好発する造血器腫瘍であり、B細胞性ALL(B-ALL)が約8割を占める。小児のALLの生存率は約90%までに向上し、多くは治癒も見込めるようになったが、成人の生存率は約40%にとどまっている。しかしながら、近年、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)などの新規治療薬や新たな免疫細胞療法が登場し、治療成績の向上が期待されている。
本特集では、B-ALLの重要なテーマとして、ALLの遺伝子変異の最新情報、測定可能/微小残存病変(MRD)の臨床上の意義、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の新たな治療戦略、再発・難治性ALLに対するCAR-T療法、AYA世代ALLの治療とケアを取り上げ、それぞれ、加藤元博先生、宮本敏浩先生、大西康先生、後藤秀樹先生、佐藤篤先生に、ご解説いただいた。(責任編集 張替秀郎)
AYA世代のALLの特徴と今後の治療
小児型治療で成績向上、包括支援が重要に
佐藤篤(宮城県立こども病院 血液腫瘍科)
2021.08.19