特集慢性骨髄性白血病(CML)/骨髄増殖性腫瘍(MPN)診療の進歩と最近の話題(1)慢性骨髄性白血病(CML)を含む骨髄増殖性腫瘍(MPN)の治療は、過去10年の間に大きく進歩した。CML治療のキードラッグであるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は、現在、5剤が承認され、より深い分子遺伝学的奏効が得られるようになるとともに、治療目標が長期間の無治療寛解(TFR)に変わりつつあり、TKI中止も望めるようになってきた。一方、MPNの分子病態は急速に解明が進み、約9割のMPNでJAK2、MPL、CALRのいずれかの遺伝子変異が関わっていることが明らかになった。病態解明の進展に伴い、真性多血症(PV)や本態性血小板血症(ET)については、治癒を目指したペグ化インターフェロンによる新たな治療体系が構築されつつある。本特集では、CML/MPNに関する、治療目標の設定、治療薬の選択、副作用管理などについての最新の情報が盛り込まれており、第一線で活躍される先生方による解説が、実臨床で有用な指針となることを期待している。(責任編集 木崎昌弘)
慢性期CMLの第一選択薬をどう決めるか
リスク分類、中止希望などに応じた薬剤選択
松村到(近畿大学医学部 血液・膠原病内科)
2020.06.11
慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)患者の長期予後は、2001年に第一世代のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるイマチニブが導入され著しく改善し、その後、第二世代、第三世代のTKIも開発された。現在、わが国のガイドラインでは初発の慢性期CMLに対してイマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブの3剤が推奨されている。薬剤選択に当たっては、各TKIの効果や副作用を踏まえた上で、CMLの病態や患者の年齢、ライフスタイル、将来のTKI中止希望なども考慮することが必要である。