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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集骨髄異形成症候群(MDS)の最近の話題(1)骨髄異形成症候群(MDS)は加齢に伴って増加する骨髄性造血器腫瘍の一つで、造血幹細胞に蓄積するゲノム変異が発症に深く関与すると考えられている。治癒が期待できる治療法は同種造血幹細胞移植のみであるが、高リスク例に対するアザシチジンのように予後を改善させる薬剤、5番染色体欠失例(5qマイナス症候群)に対するレナリドミドなど有効な薬剤が使用可能となっている。低リスク例においては赤血球造血刺激因子による貧血の改善、輸血後鉄過剰症に対する経口鉄キレート薬なども使用でき、全体としては治療の進歩が見られている。ここでは、MDSの最近の話題として、ゲノム変異を加味した新しいリスク層別化スコアリングシステム、新たな貧血治療、高リスクMDSの新規治療、MDSの新しい病態解明という4つのテーマを取り上げ、それぞれ千葉滋先生、前田智也先生、市川幹先生、林嘉宏先生にご解説いただいた。(責任編集:宮﨑泰司)

MDSの病型分類と予後予測の変遷
IPSS-Mはリスク層別化スコアリングシステムとなるか

千葉滋(筑波大学 医学医療系血液内科)

骨髄異形成症候群(MDS)は、1982年にFAB分類で新たな疾患概念として提唱され、定着した。その後、1997年に骨髄の芽球、染色体、血球減少の3項目による予後判定スコア(IPSS)が公開され2012年に改訂された(IPSS-R)。2022年6月にIPSS-Rをベースとし、遺伝子変異を組み込んでリスクスコアを算出するIPSS-Mが公表された。ここでは、MDSの病型分類と予後予測の変遷を踏まえ、遺伝子変異を加味したリスク層別化の有用性と可能性について解説する。