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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集骨髄異形成症候群(MDS)の最近の話題(2)骨髄異形成症候群(MDS)は加齢に伴って増加する骨髄性造血器腫瘍の一つで、造血幹細胞に蓄積するゲノム変異が発症に深く関与すると考えられている。治癒が期待できる治療法は同種造血幹細胞移植のみであるが、高リスク例に対するアザシチジンのように予後を改善させる薬剤、5番染色体欠失例(5qマイナス症候群)に対するレナリドミドなど有効な薬剤が使用可能となっている。低リスク例においては赤血球造血刺激因子による貧血の改善、輸血後鉄過剰症に対する経口鉄キレート薬なども使用でき、全体としては治療の進歩が見られている。ここでは、MDSの最近の話題として、ゲノム変異を加味した新しいリスク層別化スコアリングシステム、新たな貧血治療、高リスクMDSの新規治療、MDSの新しい病態解明という4つのテーマを取り上げ、それぞれ千葉滋先生、前田智也先生、市川幹先生、林嘉宏先生にご解説いただいた。(責任編集:宮﨑泰司)

MDSの新たな貧血治療薬
既存薬と異なる作用機序の薬剤に期待

前田智也(埼玉医科大学 国際医療センター 造血器腫瘍科)

低リスク骨髄異形成症候群(MDS)は高リスクMDSに比べて予後は良好で、白血病化のリスクも低い。したがって、行なうべき治療法は造血不全への対応が主であり、QOLの維持が目的となる。現在の主な治療法は輸血療法や赤血球生成を刺激するペプチドホルモン(エリスロポエチン製剤)の投与であるが、近年、既存薬とは作用機序が異なり、病態分子を標的とした薬剤の開発が進んでいる。これらを踏まえ、低リスクMDS治療の現状と新規貧血治療薬の開発状況について概説する。