2018年1月の注目論文(Vol. 1)
木崎昌弘(埼玉医科大学総合医療センター 血液内科 教授)
2018.01.11
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年1月分(Vol. 1)は、木崎昌弘氏が担当します。
Nat Med. 23(12):1436-1443
Hosen N, Matsunaga Y, Hasegawa K, Matsuno H, Nakamura Y, Makita M, Watanabe K, Yoshida M, Satoh K, Morimoto S, Fujiki F, Nakajima H, Nakata J, Nishida S, Tsuboi A, Oka Y, Manabe M, Ichihara H, Aoyama Y, Mugitani A, Nakao T, Hino M, Uchibori R, Ozawa K, Baba Y, Terakura S, Wada N, Morii E, Nishimura J, Takeda K, Oji Y, Sugiyama H, Takagi J, Kumanogoh A.
ここに注目!
多発性骨髄腫では恒常的に活性型インテグリンβ7が特異的に発現し、治療標的となる
大阪大学の保仙らは、骨髄腫細胞に特異的に結合する10,000クローン以上のモノクローナル抗体の中から、正常細胞には結合せず骨髄腫細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体MMG49を同定した。機能解析の結果、MMG49はインテグリンβ7に結合することが明らかになった。興味深いことに、インテグリンβ7はほとんどの血液細胞では不活性型構造で存在するが、骨髄腫細胞では活性型立体構造を取っており、MMG49はこの活性型の構造をしたインテグリンβ7にのみ結合することが明らかになった。さらに、インテグリンβ7の活性型立体構造を標的としたCAR-T細胞が、骨髄腫特異的細胞障害を持つことが明らかになり、本研究により骨髄腫に対する新たな免疫療法の可能性が示された。