2018年11月の注目論文(Vol. 2)
宮﨑泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所 所長)
2018.11.29
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年11月分(Vol. 2)は、宮﨑泰司氏が担当します。
J Clin Oncol. 36(26):2684-2692
Lancet JE, Uy GL, Cortes JE, Newell LF, Lin TL, Ritchie EK, Stuart RK, Strickland SA, Hogge D, Solomon SR, Stone RM, Bixby DL, Kolitz JE, Schiller GJ, Wieduwilt MJ, Ryan DH, Hoering A, Banerjee K, Chiarella M, Louie AC, Medeiros BC
ここに注目!
CPX-351はシタラビンとダウノルビシンをリポソームにモル比5:1で含む製剤で、現在のように両薬剤を別々に投与するよりも抗白血病効果が優れると考えられている。この試験では、60~75歳の未治療二次性急性骨髄性白血病を対象としてCPX-351治療と通常のシタラビン/ダウノルビシン(7+3)治療を無作為割り付けで比較した。その結果、寛解率はCPX-351治療で有意に良好(47.7%対33.3%、P=0.016)であり、全生存についても有意に優れていた(生存期間中央値 9.56カ月対5.95カ月、P=0.003)。一方で早期死亡に有意差は無く、CPX-351は高齢の二次性急性骨髄性白血病に対する有効な治療と考えられた。Drug deliveryの違いによって治療効果が改善しており、興味の持たれる結果である。