2019年12月の注目論文(Vol. 1)
木崎昌弘(埼玉医科大学総合医療センター 血液内科 教授)
2019.12.05
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2019年12月分(Vol. 1)は、木崎昌弘氏が担当します。
Blood. 134(18):1498-1509
Yacoub A, Mascarenhas J, Kosiorek H, Prchal JT, Berenzon D, Baer MR, Ritchie E, Silver RT, Kessler C, Winton E, Finazzi MC, Rambaldi A, Vannucchi AM, Leibowitz D, Rondelli D, Arcasoy MO, Catchatourian R, Vadakara J, Rosti V, Hexner E, Kremyanskaya M, Sandy L, Tripodi J, Najfeld V, Farnoud N, Papaemmanuil E, Salama M, Singer-Weinberg R, Rampal R, Goldberg JD, Barbui T, Mesa R, Dueck AC, Hoffman R
ここに注目!
最近、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の病態解明や治療に関する研究が進み多くの注目を集めている。本態性血小板血症(ET)や真性多血症(PV)にインターフェロンが奏効することは以前より知られていたが、本論文は、Myeloproliferative Disorders Research Consortium(MPD-RC)によって行なわれたヒドロキシウレアに抵抗性を示す高リスクET、PVに対するペグ化インターフェロン(PEG)の効果を検討した第Ⅱ相試験の結果である。ヒドロキシウレアに抵抗性あるいは不耐用のET65例およびPV50例に対するPEGの効果は、各々の全奏効率(CR/PR)69%(43%/26%)、60%(22%/38%)であった。興味深いことにETでは、CALR遺伝子変異を有する症例は有意にPEGによるCR率が高かった。ヒドロキシウレアに効果を示さないPVに対してはruxolitinibがすでに保険承認されているが、今後はPEGとの比較試験や両者を併用した際の効果が興味深い。MPNの治療は今後さらに展開しそうである。