2019年1月の注目論文(Vol. 1)
伊豆津宏二(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長)
2019.01.10
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2019年1月分(Vol. 1)は、伊豆津宏二氏が担当します。
Circulating Tumor DNA Measurements As Early Outcome Predictors in Diffuse Large B-Cell Lymphoma.
J Clin Oncol. 36(28):2845-2853
Kurtz DM, Scherer F, Jin MC, Soo J, Craig AFM, Esfahani MS, Chabon JJ, Stehr H, Liu CL, Tibshirani R, Maeda LS, Gupta NK, Khodadoust MS, Advani RH, Levy R, Newman AM, Dührsen U, Hüttmann A, Meignan M, Casasnovas RO, Westin JR, Roschewski M, Wilson WH, Gaidano G, Rossi D, Diehn M, Alizadeh AA
ここに注目!
次世代シーケンサーを用いて血漿または血清中の無細胞血中循環腫瘍DNA(ctDNA)をみる方法(リキッドバイオプシー)が開発され、さまざまな癌腫でバイオマーカーとしての意義をみる研究が進んでいる。リンパ腫についても著者らのグループをはじめ複数のグループからの報告がある。今回の研究ではリツキシマブ併用化学療法を行なったびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者において、治療前のctDNA量および化学療法1サイクル後のctDNA量の低下の程度が予後とよく相関していることが分かった。また、これが既知の臨床的予後因子とは独立した予後因子であった。今後、標準化などが必須になるが、ctDNA量に基づく層別化治療につながっていく可能性がある。