2019年5月の注目論文(Vol. 2)
坂田(柳元)麻実子(筑波大学 医学医療系 血液内科 准教授)
2019.05.30
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2019年5月分(Vol. 2)は、坂田(柳元)麻実子氏が担当します。
Tagraxofusp in Blastic Plasmacytoid Dendritic-Cell Neoplasm.
N Engl J Med. 380(17):1628-1637
Pemmaraju N, Lane AA, Sweet KL, Stein AS, Vasu S, Blum W, Rizzieri DA, Wang ES, Duvic M, Sloan JM, Spence S, Shemesh S, Brooks CL, Balser J, Bergstein I, Lancet JE, Kantarjian HM, Konopleva M
ここに注目!
芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)はCD123(IL-3受容体)の過剰発現を特徴とする。Tagraxofusp(商品名ELZONRIS)はIL-3と短縮型ジフテリア毒素を融合した蛋白質であり、CD123発現細胞に結合し、ジフテリア毒素によって標的細胞を殺す作用がある。BPDCN計47例(未治療 32例、再発難治15例)に対して、tagraxofuspを7μg/kgあるいは12μg/kg、day1-5、21日周期で投与し、原病が増悪するか重篤な副作用が発現するまで投与を継続した。未治療BPDCNのうち推奨用量の12μg/kgを投与された29例では、完全寛解割合72%、全奏効割合90%であり、45%で造血幹細胞移植が行なわれた。再発難治BPDCNでも全奏効割合は67%であった。副作用として肝障害、低アルブミン血症、末梢性浮腫、血小板減少、毛細血管漏出症候群の発現がみられた。本試験をもとに、BPDCNに対するtagraxofuspはFDAによって承認された。