2020年8月の注目論文(Vol. 2)
伊豆津宏二(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長)
2020.08.27
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2020年8月分(Vol. 2)は、伊豆津宏二氏が担当します。
J Clin Oncol. 2020 Jul 13:JCO2000999. doi: 10.1200/JCO.20.00999.
Persky DO, Li H, Stephens DM, Park SI, Bartlett NL, Swinnen LJ, Barr PM, Winegarden JD 3rd, Constine LS, Fitzgerald TJ, Leonard JP, Kahl BS, LeBlanc ML, Song JY, Fisher RI, Rimsza LM, Smith SM, Miller TP, Friedberg JW
ここに注目!
限局期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、進行期例と比較して予後良好であり、従来用いられているR-CHOP 6コースや、R-CHOP 3コース+局所放射線療法のいずれかよりも、強度を減弱した治療が模索されている。この研究は、年齢を問わない、巨大病変のない(<10cm)、ステージI、IIのDLBCL患者を対象として、R-CHOP 3コース後の中間PETで陰性の場合はR-CHOP 1コースを追加して治療終了し、陽性の場合は、局所放射線療法とRI標識抗体療法の追加を行なうという単群の第II相試験で、米国のSWOGを中心とするintergroup studyとして行なわれた。適格例132人のうち、中間PETは128人で行なわれ、86%が陰性だった。陰性例での5年無増悪生存割合は89%であった。対照群がない試験ではあるが、若年例・IPI 0点の患者が対象のドイツのFLYER試験の結果などと併せて、限局期DLBCLの大部分の患者にとって、R-CHOP 4コースで十分であることが示唆される。