2020年12月の注目論文(Vol. 1)
伊豆津宏二(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長)
2020.12.10
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2020年12月分(Vol. 1)は、伊豆津宏二氏が担当します。
J Clin Oncol. 2020 Sep 18:JCO2000935. doi: 10.1200/JCO.20.00935.
Gallamini A, Rossi A, Patti C, Picardi M, Romano A, Cantonetti M, Oppi S, Viviani S, Bolis S, Trentin L, Gini G, Battistini R, Chauvie S, Sorasio R, Pavoni C, Zanotti R, Cimminiello M, Schiavotto C, Viero P, Mulé A, Fallanca F, Ficola U, Tarella C, Guerra L, Rambaldi A
ここに注目!
古典的ホジキンリンパ腫(cHL)では、診断時に巨大腫瘤を認めた場合、化学療法後に地固め放射線療法(RT)が長らく行なわれてきた。しかし、EORTCが行なった臨床試験の結果から、RTは化学療法後にCTで部分奏効に相当する残存腫瘤が認められた場合のみに限定されるようになり、さらにeBEACOPP療法を用いるGHSG HD15試験の結果から、化学療法後のPET-CTで完全奏効が確認された場合、RTを省略することが実地診療で選択されてきた。だが、ABVD療法後、CTで腫瘤が残存しているが、PET-CTでは完全奏効という場合、RTを省略してよいかを直接調べたデータはこれまでになかった。治療効果判定時のPET-CTで完全奏効が確認できれば、不要なRTを回避できるという点で意義が大きい。