2020年6月の注目論文(Vol. 2)
張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液・免疫病学分野 教授)
2020.06.18
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2020年6月分(Vol. 2)は、張替秀郎氏が担当します。
Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Acute Graft-versus-Host Disease
N Engl J Med. 382(19):1800-1810
Zeiser R, von Bubnoff N, et al.
ここに注目!
ステロイド抵抗性急性GVHDに対するRuxolitinib治療
同種造血幹細胞移植後のステロイド抵抗性急性GVHDは難治であり、非再発死亡の原因となる。本研究はステロイド抵抗性GVHDに対してJAK阻害剤であるRuxolitinibの有効性を検証した第III相ランダム化比較試験である。対象はGrade II-IVのステロイド抵抗性急性GVHDであり、Ruxolitinib群(10mg、1日2回:154例)と主治医選択による治療群(ATG、mTOR阻害剤、TNF阻害剤、MSC、MMFなど:155例)に割付けされた。治療反応性はd28(62% vs 39%)、d56(40% vs 22%)と、いずれもRuxolitinib群で高く、無増悪生存期間もRuxolitinib群で長かった(5カ月vs 1カ月)。Ruxolitinib群では血球減少の頻度が高く認められたものの、この難治病態に対する新たな治療薬としてRuxolitinibの有用性が示された。