2021年9月の注目論文(Vol. 2)
前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)
2021.09.24
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2021年9月分(Vol. 2)は、前田嘉信氏が担当します。
Blood. 2021 Jul 22;138(3):273-282.
Gooptu M, Romee R, St Martin A, Arora M, Al Malki M, Antin JH, Bredeson CN, Brunstein CG, Chhabra S, Fuchs EJ, Ghosh N, Grunwald MR, Kanakry CG, Kekre N, McGuirk JP, McNiece IK, Mehta RS, Mielcarek M, Milano F, Modi D, Reshef R, Solomon SR, Schroeder MA, Waller EK, Inamoto Y, Soiffer RJ, Eapen M.
ここに注目!
移植後大量シクロフォスファミド(PTCY)を用いたGVHD予防は、ハプロ移植(Haplo)だけでなくHLA一致非血縁者間移植(MUD)でも用いられる。本研究では、AML/MDS患者に対するHaploとMUDからの同種造血幹細胞移植を、後方視的に比較している。骨髄非破壊的前処置での移植(RIST)例では、MUD群の方がHaplo群に比べ有意に急性GVHD II-IVと急性GVHD III-Vの頻度が低く、有意に全生存率(OS)が良好であった。骨髄破壊的前処置での移植では、MUD群の方が有意に急性GVHD III-Vの頻度が低いが、OSには差がなかった。PTCYの時代にあってもHLAを一致させた移植の方が、特にRISTでは良好な成績であった。