2022年4月の注目論文(Vol. 2)
張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液・免疫病学分野 教授)
2022.04.21
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2022年4月分(Vol. 2)は、張替秀郎氏が担当します。
Decade-long leukaemia remissions with persistence of CD4+ CAR T cells
Nature. 2022:602;503-509. doi: 10.1038/s41586-021-04390-6.
Melenhorst JJ et al.
ここに注目!
CD4陽性CAR-T細胞の持続的存在を伴う長期寛解白血病の解析
腫瘍細胞を特異的にターゲットとしたT細胞療法はがんに対する治療法として可能性を秘めているが、長期にわたる細胞動態については明らかとなっていない。本研究は2010年にCAR-T治療を受け寛解を維持している2名のCLL患者におけるCAR-T細胞の動態を解析したものである。両方の患者においてCAR-T細胞は10年以上にわたり検出され、後期においては活性化CD4+CAR-T細胞がドミナントとなっていた。これらの細胞は少数のクローンからなり、増殖マーカーであるKi67を高発現し細胞障害性の形質を有していた。また、1人の患者では初期の治療反応フェーズにおいてCD8+CAR-T細胞とともにγδCAR-T細胞が拡大し、以後後期にCD4+CAR-T細胞に置き換わっていた。これらの結果は抗腫瘍反応と長期寛解をもたらすCAR-T細胞の新たな特性を示すものである。