2022年1月の注目論文
前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)
2022.01.20
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2022年1月分は、前田嘉信氏が担当します。
J Clin Oncol. 2021 Dec 2:JCO2102293. doi: 10.1200/JCO.21.02293. Online ahead of print.
Luznik L, Pasquini MC, Logan B, Soiffer RJ, Wu J, Devine SM, Geller N, Giralt S, Heslop HE, Horowitz MM, Jones RJ, Litzow MR, Mendizabal A, Muffly L, Nemecek ER, O'Donnell L, O'Reilly RJ, Palencia R, Schetelig J, Shune L, Solomon SR, Vasu S, Ho VT, Perales MA.
ここに注目!
移植後大量シクロフォスファミド(PTCY)を用いたGVHD予防は、慢性GVHDの発症リスクを低下させ、慢性GVHDあるいは再発なしの生存率(CRFS)の改善が期待されている。本研究では、主に白血病患者に対する骨髄破壊的前処置での移植において、CD34陽性細胞PBSCT(CD34移植)群、BMT後のタクロリムス/MTX(Tac/MTX)群、BMT後のPTCY単独(PTCY)群を無作為化比較した。2年CRFSは3群間で有意差がなかった。PTCY群は、Tac/MTX群に比べ再発は少ない傾向であったが、慢性GVHDとOSには差を認めなかった。骨髄破壊的BMT後という条件下であるが、カルシニューリン阻害剤なしのPTCY群とTac/MTX群のOSは76%に達し、両方法とも今後のベンチマークとなる成績と言える。