2022年6月の注目論文(Vol. 2)
伊豆津宏二(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長)
2022.06.23
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2022年6月分(Vol. 2)は、伊豆津宏二氏が担当します。
Fixed-Duration Ibrutinib-Venetoclax in Patients with Chronic Lymphocytic Leukemia and Comorbidities
DOI:https://doi.org/10.1056/EVIDoa2200006
Kater Ap, et al.
ここに注目!
高齢もしくはCumulative Illness Rating Scale (CIRS)が6以上の18~64歳の未治療慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するibrutinib + venetoclax (IBR+Ven)併用療法と、海外での従来の標準治療の1つであったchlorambucil + obinutuzumab併用療法を比較した第Ⅲ相試験(GLOW試験)の主たる解析結果の報告である。IBR+Venは経口の分子標的薬2剤による固定期間(12サイクル、約1年間)の治療である。プライマリエンドポイントの無増悪生存期間でIBR+Venの方が優れており、海外では本試験結果を根拠としてIBR+Venの承認申請が行なわれた。未治療CLLに対する現在の標準治療であるIBR単剤療法は疾患進行まで無期限で続ける治療であるのに対して、IBR+Venは固定期間の治療という点で魅力的であるが、無増悪生存期間や安全性などの面でどちらが有利かは今後の課題である。ドイツで行なわれているCLL17試験では、未治療CLLに対してIBR単剤療法、IBR+Ven、obinutuzumab + Venの3者が比較されている。