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この論文に注目!Focus On

2022年10月の注目論文(Vol. 2)

柴山浩彦(国立病院機構 大阪医療センター 血液内科 科長)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2022年10月分(Vol. 2)は、柴山浩彦氏が担当します。

Triplet Therapy, Transplantation, and Maintenance until Progression in Myeloma

N Engl J Med. 387(2):132-147

Richardson PG, Jacobus SJ, Weller EA, Hassoun H, Lonial S, Raje NS, Medvedova E, McCarthy PL, Libby EN, Voorhees PM, Orlowski RZ, Anderson LD Jr, Zonder JA, Milner CP, Gasparetto C, Agha ME, Khan AM, Hurd DD, Gowin K, Kamble RT, Jagannath S, Nathwani N, Alsina M, Cornell RF, Hashmi H, Campagnaro EL, Andreescu AC, Gentile T, Liedtke M, Godby KN, Cohen AD, Openshaw TH, Pasquini MC, Giralt SA, Kaufman JL, Yee AJ, Scott E, Torka P, Foley A, Fulciniti M, Hebert K, Samur MK, Masone K, Maglio ME, Zeytoonjian AA, Nadeem O, Schlossman RL, Laubach JP, Paba-Prada C, Ghobrial IM, Perrot A, Moreau P, Avet-Loiseau H, Attal M, Anderson KC, Munshi NC; DETERMINATION Investigators.

ここに注目!

移植適応のある初発MM患者に対し、フランスのIFMが実施した2009試験(RVD療法3サイクルによる寛解導入の後、up-frontで自家移植併用大量化学療法(Auto)を行ないRVD2サイクル追加し、レナリドミド(Len)による維持療法を1年間行なう群と、RVDのみを8サイクル継続しLenによる維持療法を行ない再発後にAutoを行なう群の比較)と同じデザインで、米国で実施されたDETERMINATION試験の結果が報告された。本試験では、Lenの維持療法はPDとなるまで継続された。また、RVDのみの群でPD後にAutoを受けた患者は28%であった。結果は、IFM2009試験と同様に、PFSはup-front Auto群で有意に優れていたが、OSは両群で差を認めなかった。ただし、Lenの維持療法を1年間としたIFM2009試験よりもPFSの期間は両群とも1年以上延長している。有害事象はup-front Auto群で多く、また、両群ともMRD陰性が得られればPFSは良好であった。以上の結果より、up-front Autoは絶対の標準療法ではなく、本治療を選択すべきかどうかは、患者ごとに判断する必要がある。