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この論文に注目!Focus On

2023年8月の注目論文(Vol. 2)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2023年8月分(Vol. 2)は、前田嘉信氏が担当します。

Post-Transplantation Cyclophosphamide-Based Graft-versus-Host Disease Prophylaxis

N Engl J Med. 2023 Jun 22;388(25):2338-2348.

Bolaños-Meade J, Hamadani M, Wu J, Al Malki MM, Martens MJ, Runaas L, Elmariah H, Rezvani AR, Gooptu M, Larkin KT, Shaffer BC, El Jurdi N, Loren AW, Solh M, Hall AC, Alousi AM, Jamy OH, Perales MA, Yao JM, Applegate K, Bhatt AS, Kean LS, Efebera YA, Reshef R, Clark W, DiFronzo NL, Leifer E, Horowitz MM, Jones RJ, Holtan SG; BMT CTN 1703 Investigators.

ここに注目!

本研究では、HLA一致血縁者間移植と7/8以上一致非血縁者間移植におけるGVHD予防としてPTCY(+FK、MMF)と、従来からのFK/MTXが無作為化比較された。芽球5%未満のAML/MDSを中心に431人が登録され、RICレジメンで同種移植が実施された。その結果、GVHDなし再発なし生存率は、PTCY群で有意に高かった。全生存率(OS)、無病生存率(DFS)、再発、治療関連死亡は両群で差がなかった。年齢は中央値66歳だったが、65歳より上と下で分けた解析でも同様の結果であった。PTCY群のOSとDFSはそれぞれ77%と67%に達し、予後が期待できる移植において、PTCYはGVHDなし再発なし生存率を期待できる。