2024年4月の注目論文
木崎昌弘(埼玉医科大学 名誉教授/よみうりランド慶友病院 副院長)
2024.04.04
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2024年4月分は、木崎昌弘氏が担当します。
Lancet Haematol. 2024 Feb 2:S2352-3026(23)00367-8. doi: 10.1016/S2352-3026(23)00367-8. Online ahead of print.
Bataller A, Montalban-Bravo G, Bazinet A, Alvarado Y, Chien K, Venugopal S, Ishizawa J, Hammond D, Swaminathan M, Sasaki K, Issa GC, Short NJ, Masarova L, Daver NG, Kadia TM, Colla S, Qiao W, Huang X, Kanagal-Shamanna R, Hendrickson S, Ravandi F, Jabbour E, Kantarjian H, Garcia-Manero G.
ここに注目!
Cytidine deaminase阻害薬cedazuridine(ced)は、cytidine deaminaseによるdecitabineの不活化を阻害する薬剤であり、活性化されたDNAメチル化阻害薬とBCL-2阻害薬venetoclax(ven)の高リスク骨髄異形成症候群(MDS)に対する臨床的効果については非常に興味深い。本論文は、高リスクMDS及び慢性骨髄単球性白血病(CMML)に対する経口薬であるdecitabine(dec)、ced、ven併用療法の早期臨床試験の結果に関する報告である。本試験には39人が登録され、第Ⅱ相試験では経口dec 35mgとced 100mgが5日間、ven 400mgが14日間投与された。Gr3/4の有害事象は骨髄抑制と発熱性好中球減少症を認めた。追跡期間10.8カ月で、全奏効率(ORR)は95%であり、後に19人(49%)が造血幹細胞移植を行なったという素晴らしい成績が示された。今後、さらに症例を増やした大規模な試験が望まれるが、完全経口薬による治療は高リスクMDSの新たな治療として期待される。なお、decとced(ASTX727)は経口固定用量の低メチル化製剤であり、2020年にFDAにより承認された。