2024年8月の注目論文
前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)
2024.08.29
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2024年8月分は、前田嘉信氏が担当します。
Blood. 2024 May 10:blood.2023022273. doi: 10.1182/blood.2023022273. Online ahead of print.
Scheid C, Eikema DJ, Van Gelder M, Salmenniemi U, Maertens J MD, Passweg JR, Blaise D, Byrne JL, Kroeger N, Sockel K, Chevallier P, Bourhis JH, Cornelissen JJ, Sengeloev H, Finke J, Snowden JA, Gedde-Dahl T, Cornillon J, Schanz U, Patel A, Koster L, de Wreede LC, Hayden PJ, Raj K, Drozd-Sokolowska J, Gurnari C, Onida F, McLornan DP, Robin M, Yakoub-Agha I.
ここに注目!
骨髄異形成症候群(MDS)において、IPSS-Rスコアの低い方が移植後の成績は良いが、移植前に治療介入してIPSS-Rスコアを下げた方がよいかのは明らかとなっていない。1,482例を後方視的に解析した結果、治療介入なしの場合は、診断時のスコアが重要で、移植直前のスコアがたとえ悪化しても移植後の成績に影響しなかった。一方、化学療法でスコアが改善した群は、移植後の成績も改善したが、スコアが不変、もしくは悪化した群は、移植後の成績が無治療群に比べ不良だった。脱メチル化薬を投与した場合は、スコア改善か不変群は移植後成績に影響しなかったが、スコアが悪化した群は、移植後の成績が不良であった。スコアを改善させて移植後の成績が良くなるのは化学療法の場合のみだったが、診断時のスコアが高い場合は、できれば化学療法をチャレンジするのがよいのだろう。