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この論文に注目!Focus On

2024年2月の注目論文(Vol. 2)

大西康(東北大学大学院 医学系研究科 血液内科学分野 講師)
張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液内科学分野 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2024年2月分(Vol. 2)は、大西康氏と張替秀郎氏が担当します。

HLA Haplotypes and Relapse After Hematopoietic Cell Transplantation

J Clin Oncol. 2023 Dec 5:JCO2301264. doi: 10.1200/JCO.23.01264. Online ahead of print.

Petersdorf EW, McKallor C, Malkki M, He M, Spellman SR, Gooley T, Stevenson P.

ここに注目!

移植後シクロホスファミド(PTCY)を用いたハプロ移植が広く行なわれるようになり、ハプロドナー選択に関する情報が蓄積されてきた。本研究では1,629件のハプロ移植を対象に、HLA-class II(DR, DQ, DM)のアリルバリエーションと患者・ドナー間のミスマッチ(GVH方向)が移植成績に与える影響を解析した。既報と同様、HLA-DRB1 exon 2ミスマッチはマッチよりも再発率が低かった。DRB1マッチ移植における患者のDRβ-86のアミノ酸残基:Gly/ValはGly/Gly, Val/Valより成績が良好であった。一方で、HLA-DRB1ミスマッチ移植ではこの影響は観察されなかった。HLA-DQ, HLA-DMについてもミスマッチの有無だけでなく、そのヘテロダイマーの違い(G1/G2, DM11/nonDM11)が一部で予後に影響した。最後にHLA-DR, -DQ, -DMの組み合わせ(ハプロタイプ)が予後に影響することも示されている。今後、ハプロドナー選択にどこまで応用できるか興味深い。