2024年1月の注目論文(Vol. 1)
前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)
2024.01.11
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2024年1月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。
Nat Med. 2023 Oct;29(10):2593-2601. doi: 10.1038/s41591-023-02572-5. Epub 2023 Sep 14.
Roch Houot, Emmanuel Bachy, Guillaume Cartron, François-Xavier Gros, Franck Morschhauser, Lucie Oberic, Thomas Gastinne, Pierre Feugier, Rémy Duléry, Catherine Thieblemont, Magalie Joris, Fabrice Jardin, Sylvain Choquet, Olivier Casasnovas, Gabriel Brisou, Morgane Cheminant, Jacques-Olivier Bay, Francisco Llamas Gutierrez, Cédric Menard, Karin Tarte, Marie-Hélène Delfau, Cédric Portugues, Emmanuel Itti, Xavier Palard-Novello, Paul Blanc-Durand, Yassine Al Tabaa, Clément Bailly, Camille Laurent, François Lemonnier
ここに注目!
無作為化比較試験ZUMA-7により自家移植適応の再発・難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者へのサルベージ治療として、CAR-T製剤Axi-celは自家移植よりも優れていることが明らかになった。一方、再発・難治DLBCLの約半数は移植非適応であるが、これらの患者に対するCAR-T製剤の効果を本研究では検証している。62人が登録され、PET陰性の完全奏効(CR)が71.0%と主たるエンドポイントにメットした。無増悪生存期間(PFS)中央値は11.8カ月で、grade3-4のサイトカイン放出症候群ならびに神経学的副作用は、それぞれ8.1%、14.5%であった。これらにより、移植非適応の再発・難治DLBCLに対しても、CAR-T製剤Axi-celの結果はセカンドライン治療となり得ることが示された。