2024年6月の注目論文(Vol. 1)
柴山浩彦(国立病院機構 大阪医療センター 血液内科科長/輸血療法部長)
2024.06.13
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2024年6月分(Vol. 1)は、柴山浩彦氏が担当します。
J Clin Oncol. 2024 Feb 15:JCO2302232. doi: 10.1200/JCO.23.02232. Online ahead of print.
Gagelmann N, Dima D, Merz M, Hashmi H, Ahmed N, Tovar N, Oliver-Caldés A, Stölzel F, Rathje K, Fischer L, Born P, Schäfer L, Albici AM, Schub N, Kfir-Erenfeld S, Assayag M, Asherie N, Wulf GG, Kharboutli S, Müller F, Shune L, Davis JA, Anwer F, Vucinic V, Platzbecker U, Ayuk F, Kröger N, Khouri J, Gurnari C, McGuirk J, Stepensky P, Abdallah AO, Fernández de Larrea C.
ここに注目!
再発・難治骨髄腫(R/R MM)に対し、CAR-T細胞治療が有効であることは種々の臨床試験や実臨床でも示されている。本論文では、BCMA CAR-T細胞治療を受けた269例のコホートの後ろ向き観察研究により、CAR-T細胞治療による予後予測因子を抽出している。最初に、136例の欧州のデータから、CAR-T細胞治療後の早期再発のリスク因子として髄外病変/白血化、レナリドミド抵抗性、高リスク染色体異常、前処置時のフェリチン上昇の4因子が抽出された。リスク因子の数により低リスク(0-1)、中間リスク(2-3)、高リスク(4)と3段階に分けると(MyCAReモデル)、CAR-T細胞治療後5カ月時点の再発率は、低/中間/高リスクにて、7%/27%/53%であった。また、この結果は133例の米国の症例でも認められた。MyCAReモデルを用いることで、CAR-T細胞治療に適した患者を選択できる可能性が示された。