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この論文に注目!Focus On

2024年5月の注目論文(Vol. 1)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2024年5月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。

Sequential CD7 CAR T-Cell Therapy and Allogeneic HSCT without GVHD Prophylaxis

N Engl J Med. 2024 Apr 25;390(16):1467-1480. doi: 10.1056/NEJMoa2313812.

Yongxian Hu, et al.

ここに注目!

CD7等のT細胞分子を標的にしたCAR-T療法はT細胞系腫瘍に対し有効性が限られている。その要因として1)CAR-T細胞の同士討ちが発生する、2)CD7が陽性のNK細胞に加え、B細胞も含めた免疫不全になる、3)骨髄低形成を伴う汎血球減少が起きやすい、4)CD7陰性腫瘍の再発などは、CAR-T療法のみでは治癒しにくい、などが挙げられる。対策として、CD7発現を抑制したCAR-T細胞の開発やCAR-T療法後の同種移植が試みられている。本研究では、CRだが骨髄低形成またはCAR-T細胞が体内に検出される症例に対し、前者から前処置を、また後者からGVHD予防を実施しないハプロ移植を実施している。10例中1例は移植後生着不全(自家造血回復とCR生存中)、2例が感染症死亡、2例にCD7陰性腫瘍の再発が見られたが、5例は生着後MRD陰性CRで生存している。GVHD予防なしでもgrade2の急性GVHDは2例のみだった。中国での実施可能なCAR-Tと移植の連続療法についての報告である。