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この論文に注目!Focus On

2024年10月の注目論文(Vol. 1)

柴山浩彦(国立病院機構 大阪医療センター 血液内科科長/輸血療法部長)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2024年10月分(Vol. 1)は、柴山浩彦氏が担当します。

Isatuximab, Bortezomib, Lenalidomide, and Dexamethasone for Multiple Myeloma

N Engl J Med. 2024 Jun 3. doi: 10.1056/NEJMoa2400712. Online ahead of print.

Facon T, Dimopoulos MA, Leleu XP, Beksac M, Pour L, Hájek R, Liu Z, Minarik J, Moreau P, Romejko-Jarosinska J, Spicka I, Vorobyev VI, Besemer B, Ishida T, Janowski W, Kalayoglu-Besisik S, Parmar G, Robak P, Zamagni E, Goldschmidt H, Martin TG, Manier S, Mohty M, Oprea C, Brégeault MF, Macé S, Berthou C, Bregman D, Klippel Z, Orlowski RZ; IMROZ Study Group.

ここに注目!

移植非適応の初発MM患者に対しVRD療法と、イサツキシマブを併用したIsa-VRD療法を比較した第Ⅲ相試験(IMROZ試験)の結果が報告された。446例の患者(年齢中央値が72歳)が3:2の比率でIsa-VRD群とVRD群に振り分けられた。主要評価項目である60カ月時点の無増悪生存率(PFS)は63.2%と45.2%で、有意にIsa-VRD群が優れていた(HR:0.60; 98.5%CI:0.41-0.88, P<0.001)。副次評価項目はCR以上の割合:74.7%と64.1%(P=0.01)、MRD陰性率:55.5%と40.9%(P=0.003)であり、どちらもIsa-VRD群で有意に優っていた。安全性については、Isa追加により好中球減少および感染症が増えていたが、有害事象による治療中止の割合は差がなかった。この試験の結果から、移植非適応の初発MM患者においても4剤併用の治療が今後、主流となる可能性が示された。