2025年2月の注目論文(Vol. 2)
柴山浩彦(国立病院機構 大阪医療センター 血液内科科長/輸血療法部長)
2025.02.20
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2025年2月分(Vol. 2)は、柴山浩彦氏が担当します。
Talquetamab plus Teclistamab in Relapsed or Refractory Multiple Myeloma
N Engl J Med. 2025 Jan 9;392(2):138-149.
Cohen YC, Magen H, Gatt M, Sebag M, Kim K, Min CK, Ocio EM, Yoon SS, Chu MP, Rodríguez-Otero P, Avivi I, Quijano Cardé NA, Kumar A, Krevvata M, Peterson MR, Di Scala L, Scott E, Hilder B, Vanak J, Banerjee A, Oriol A, Morillo D, Mateos MV; RedirecTT-1 Investigators and Study Group.
ここに注目!
Talquetamab(Tal)はGPRC5DとCD3に対する二重特異性抗体、Teclistamab(Tec)はBCMAとCD3に対する二重特異性抗体であり、どちらも多発性骨髄腫(MM)に対する治療薬として開発されている。本論文では再発・難治MMに対し、Tal+Tecを併用で用いる第Ⅰb-Ⅱ相試験の結果が報告された。第Ⅰ相で5段階の投与量・スケジュールを試験し、第Ⅱ相での推奨用量がTal:0.8mg/kg+Tec:3.0mg/kgを隔週投与することに決定された。94例が試験に参加し、推奨用量で治療を受けた患者は44例であった。トリプルクラス曝露歴あり(TCE)が100%、トリプルクラス抵抗(TCR)が86%、ベランタマブ マホドチン(Bela-Maf)投与歴ありが19%、抗BCMA二重特異性抗体投与歴ありが7%、CAR-T療法歴ありが4%であった。多かった有害事象はCRS、好中球減少、味覚異常、皮膚障害であり、G3以上の有害事象では血液毒性(96%)、感染症(64%)がみられた。有効性に関しては、第Ⅱ相用量で、ORRが80%(髄外腫瘤例では61%)、CR以上が52%であり、18カ月時点での奏効持続割合が86%であった。G3以上の感染症の割合は単剤でのデータより多いが、有効性の面では、特に髄外腫瘤を認める患者にもTal+Tec併用治療が期待される。