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この論文に注目!Focus On

2026年1月の注目論文(Vol. 1)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2026年1月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。

RGI-2001 for the Prophylaxis of Acute Graft-Versus-Host Disease Following Allogeneic HCT

Blood. 2025 Jul 18:blood.2025029584. doi: 10.1182/blood.2025029584. Online ahead of print.

DeFilipp Z, Choe HK, Efebera YA, Saad A, Farhan S, Lekakis LJ, Yared JA, Schiller GJ, Mapara MY, Assal A, Gooley TA, Bui JD, Lee DD, Lane H, Chen YB.

ここに注目!

RGI-2001はα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)を含む糖脂質製剤で、抗原提示細胞のCD1d受容体に結合し、iNKT細胞を活性化させる。マウスモデルにおいて、invariant NKT(iNKT)細胞は、IL-4を介してTreg増殖を誘導しGVHDを抑制するが、本研究ではRGI-2001ヒトにおける急性GVHD予防に有効かが検討された。骨髄破壊的前処置後の同種HCT患者49例に、タクロリムス+MTXの標準GVHD予防に追加して投与され、CIBMTRレジストリから抽出された外部対照群と比較された。grade II-IV急性GVHDが24.9%、grade III-IV急性GVHDは4.1%であり、CIBMTR対照比で急性GVHD発症リスクを有意に低下させた。また、Day180のgrade II-IV GVHD-free survivalを70.8% vs 50.7%(調整HR 0.45)と有意に改善した。体内でのiNKT細胞およびTregの増加も確認され、RGI-2001はGVHD治療としてこれまでと全く異なる新規治療として期待される。