2026年3月の注目論文
宮﨑泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所 所長)
2026.03.26
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2026年3月分は、宮﨑泰司氏が担当します。
Blood. 2026 February 12; 147(7):768-782. doi: 10.1182/blood.2025030209
Kawano G, Ikeda R, Ishihara D, Shima T, Sakoda T, Yamamoto S, Kochi Y, Semba Y, Ashitani S, Mori Y, Kato K, Maeda T, Miyamoto T, Soga T, Akashi K, Kikushige Y
ここに注目!
急性骨髄性白血病(AML)に対するBCL-2阻害薬ベネトクラクス(Ven)とメチル化阻害薬アザシチジン(Aza)併用療法は、強力化学療法が適さないAMLに有効で広く投与されているが、投与を続けていると次第にAML細胞が治療抵抗性を獲得し問題となる。本研究では、このメカニズムをヌクレオチド代謝との関連から解析している。
白血病幹細胞がイノシン1リン酸脱水素酵素(IMPDH1/2)を介してグアニンヌクレオチドを豊富に産生することでリボゾームの生合成と翻訳活性を高めてTP53活性低下、MYC発現をもたらし白血病細胞の治療抵抗性獲得に関与していた。TP53遺伝子に変異のない例でもTP53活性低下が生じ、治療抵抗性と関連するという知見は重要である。さらに、マウスモデルではミコフェノール酸によるIMPDH1/2阻害によってAMLの治療抵抗性の改善がみられた。IMPDHはVen-Aza抵抗性AMLの治療標的となる可能性もあり、今後の治療開発が期待される。