2026年5月の注目論文(Vol. 1)
前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)
2026.05.14
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2026年5月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。
Blood. 2026 March 12; 147(11):1168-1177. doi: 10.1182/blood.2025031313
Meyer EH, Salhotra A, Gandhi AP, Pantin J, Patel SS, Hoeg RT, Gomez-Arteaga A, Faramand R, Tamari R, Waller EK, Kosuri S, Jimenez Jimenez AM, Holter-Chakrabarty J, Dholaria B, Chen YB, Hamilton BK, Magenau J, Eghtedar A, Murray JM, Pavlova A, Fernhoff NB, McClellan JS, Killian MS, Li A, Negrin RS, Oliai C
ここに注目!
スタンフォード大学のNegrinらは、骨髄移植と同時に大量のTregを投与することにより、マウスGVHDを抑制できることを明らかにした(Nat Med 2003)。その後、大量のTregを得るため体外で増幅させてから投与する方法が試みられたが、培養の時間とコスト、ロット間のバラつき、体内での持続性などの課題が浮上した。また、凍結による機能低下も懸念されたことから、彼らは増幅戦略から新鮮・高純度Tregを通常T細胞(Tcon)より先行輸注することで、体内IL-2を先に占有し、初期アロ免疫応答を制御する戦略へと変更した。
具体的には採取した細胞を造血幹細胞(HSPC)、Treg、Tconに分け、day0にHSPCとTregを同時に先行輸注した。Day2もしくはday3にTconを輸注し、免疫抑制剤はTacのみ使用した(Orca-T)。本研究では、20年をかけて改良されてきたOrca-Tを従来のGVHD予防法(Tac/MTX)と無作為化比較し、その結果を報告している。
Orca-T群は、主要評価項目であるmoderate-to-severe cGVHD-free survivalが78.0% vs 38.4%と大幅に改善したほか、moderate-severe cGVHD 12.6% vs 44.0%、NRM 3.4% vs 13.2%、grade3-4 aGVHD 6.2% vs 16.5%とTac/MTX群と比較していずれも有意に良好であった。OSも93.9% vs 83.1%とOrca-T群で高い傾向を示した。今後はPTCy法との比較が重要と思われる。