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この論文に注目!Focus On

2026年4月の注目論文(Vol. 2)

木崎昌弘(埼玉医科大学 名誉教授/よみうりランド慶友病院 副院長)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2026年4月の注目論文(Vol. 2)は、木崎昌弘氏が担当します。

Clonal Hematopoiesis and Lymphoma-Associated Mutations in Hematopoietic Progenitors in B-Cell Non-Hodgkin Lymphoma.

Blood. 2026 January 5. doi: 10.1182/blood.2025030489. Online ahead of print

Wiegand L, Silva P, Noerenberg D, Christen F, Kopp K, Locher BN, Lowe P, Tilgner M, Altwasser R, Storzer V, Stein CM, Briest F, Arends CM, Frick M, Ihlow J, Dolnik A, Ishaque N, Keller U, Na IK, Penter L, Bullinger L, Hablesreiter R, Damm F

ここに注目!

クローン性造血(CH)と骨髄系腫瘍との関連は既に確立されているが、リンパ系腫瘍との関連も注目されている。私どもは以前、同一の前駆細胞から発症したと考えられるMDSとAITLに関する症例を報告した。さらに、アロの造血幹細胞移植を受けた患者にドナーと同一のリンパ系腫瘍が発症した症例も報告されており、このことはリンパ系腫瘍において造血幹細胞/前駆細胞レベルの異常を有することを示唆している。

本研究は、B-NHL43例を対象に、CHに関与する遺伝子パネルを用いてWESターゲットシークエンスおよび単一細胞レベルでのシークエンス解析によりB-NHLの前駆細胞病変を体系的に解析した興味深い研究である。B-NHLの55%にCH関連変異が検出され、アグレッシブB-NHLに比しインドレント症例に高頻度に認められた(p=0.03)。DNMT3A変異は末梢血と同じく腫瘍内で低い頻度で存在していたが、TP53,TET2変異は腫瘍内でクローン性に拡大し、リンパ腫発生への関与が示唆された。さらに、インドレントB-NHLであるFL3例、MCL2例、MZL2例において、FCMで分離した造血前駆細胞分画にリンパ腫関連変異が認められ、リンパ腫の発生過程における前癌病変の存在が示された。

本研究は、B-NHLの発症において、造血幹細胞/前駆細胞レベルでの初期のクローン性変化が関与することを示しており、今後のリンパ腫の治療戦略にも関与する重要な知見と考える。