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この論文に注目!Focus On

2026年9月の注目論文(Vol. 1)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2026年9月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。

Postprandial lipid metabolism durably enhances T cell immunity

Nature. 2026 Jun;654(8120):1065-1075. doi: 10.1038/s41586-026-10432-8. Epub 2026 Apr 29.

Alok Kumar, Dayana B Rivadeneira, Isha Mehta, Bingxian Xie, Rachel Cumberland, Supriya K Joshi, Jitendra S Kanshana, William G Gunn, Victoria Dean, Angelina Parise, Kristin Morder, Erica S Myers, Steven J Mullett, Richard T Cattley, Stacy L Gelhaus, Abigail E Overacre-Delgoffe, Jishnu Das, William F Hawse, Alison B Kohan, Greg M Delgoffe

ここに注目!

CAR-T細胞の治療効果には、ハーベストしたT細胞の状態が影響することが知られている。本研究では、まず、一晩絶食後に比べ、食後に採血したT細胞は代謝活性が高く、エフェクター機能も高いことが明らかとなった。さらに、驚くべきことに、食後検体をすぐにTCR刺激すれば、この優位性は7日後も維持されていた。この食後効果は、転写やエピゲノムの変化によるものではなく、食後に血液中で増加するキロミクロンがT細胞に取り込まれることで生じると考えられた。これによりmTORC1が活性化し、蛋白質翻訳が促進され、T細胞は抗原刺激に対して迅速かつ強力に応答できる「準備状態」となることが明らかとなった。この研究では、同一ドナーから作製した食後由来CAR-T細胞は、空腹時由来CAR-T細胞よりマウスモデルの抗腫瘍効果が高かった。

実臨床での検証はなされていないが、食後の脂質代謝がT細胞の機能を長期間増強し、その効果はCAR-T細胞製造にも応用できる可能性を示唆している。