特集自己免疫性血液疾患(1)自己免疫性血液疾患は、自己抗体や免疫細胞、補体などが血球や凝固因子に作用し、血小板減少、溶血性貧血、血栓症、出血傾向など多様な病態を来す疾患群である。近年は病態理解の進展を背景に、診療ガイド/参照ガイドの改訂や新規薬剤の登場により、診断・治療の考え方も変化している。ここでは、TTP、AIHA、ITP、AHAの4疾患を取り上げ、診断・治療の整理と治療戦略の変化について、それぞれの領域の専門家に解説いただいた。(責任編集 張替秀郎)
免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の最新診療
改訂された診療ガイドに基づき迅速鑑別と治療開始を
松本雅則(奈良県立医科大学 血液内科学講座)
2026.07.02
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、全身の微小血管に血小板血栓が形成される致死的疾患である。未治療では90%以上が死亡するが、1991年にカナダのグループが新鮮凍結血漿(FFP)を用いた血漿交換療法の有効性を多施設共同ランダム化比較試験で証明し生存率は80%以上に改善した。さらに、2022年にカプラシズマブが使用可能となり、リアルワールドデータでも死亡率のさらなる低下が示されつつある。本稿では、2026年改訂の『血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド2026』を踏まえ、臨床現場で押さえるべき診断と治療のポイントを概説する。