特集自己免疫性血液疾患(2)自己免疫性血液疾患は、自己抗体や免疫細胞、補体などが血球や凝固因子に作用し、血小板減少、溶血性貧血、血栓症、出血傾向など多様な病態を来す疾患群である。近年は病態理解の進展を背景に、診療ガイド/参照ガイドの改訂や新規薬剤の登場により、診断・治療の考え方も変化している。ここでは、TTP、AIHA、ITP、AHAの4疾患を取り上げ、診断・治療の整理と治療戦略の変化について、それぞれの領域の専門家に解説いただいた。(責任編集:張替秀郎)
自己免疫性溶血性貧血の病態・診断・治療
改訂参照ガイドを踏まえて診療の要点を整理
植田康敬(大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学)
2026.07.09
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、赤血球膜抗原に対する自己抗体が産生されることで赤血球が破壊され、赤血球寿命の短縮を来す疾患群である。自己抗体の性状や補体の関与の程度によって病態は異なり、正確な診断と病型の見極めが治療選択に直結する。近年は、溶血に伴う血栓症リスクやQOLへの影響に加え、寒冷凝集素症(CAD)/寒冷凝集素症候群(CAS)の再整理や新規治療薬の位置づけなど、診療上の論点も更新されている。こうした動向を受けて診療の参照ガイドも2026年に令和7年度版として改訂され、令和4年度改訂版以降の知見を踏まえた記載の整理が行われた。本稿では、温式AIHAと寒冷凝集素症CADを中心に、病態、診断、治療の要点を概説する。